クジラはどうして潮を吹くのか?

霊夢
お、お、おおおおおおお…
魔理沙
クジラの潮吹き見て、そんなに感嘆するのはお前くらいだぜ。
霊夢
いいじゃんか別に!
クジラってでっかいし、やることなすこと何でも壮大なんだからさ!
魔理沙
で、なんで潮を吹くんだ?
霊夢
ああ、それね!
知ってるよ、人間がやってきたらインスタ映えしようとしてんでしょ?
魔理沙
1億%違う。
霊夢
小学生か!
じゃあ何なの?
そもそも潮吹きって何なのさ。
魔理沙
よっし、なら今回はクジラはどうして潮を吹くのか?について紹介するぜ!
あ、ちなみにクジラの潮吹きに乗るとか無理だからな?
霊夢
ギクッ!

クジラって何類の生き物?

魔理沙
さてさて霊夢。
早速なんだがクジラって何類の生き物だ?
霊夢
哺乳類でしょ?
そのくらい知ってるよ。
魔理沙
そうだ。
正確には偶蹄目または鯨偶蹄目に分類されていて、魚類体形の現生水生哺乳類、さらに始原的祖先である陸棲哺乳類、さらにさらに系統的類縁にあたる、全ての化石哺乳類を総括したグループというんだ。
霊夢
ごめん、よけい分からなくなった。
魔理沙
えーっと…つまりクジラとイルカとネズミイルカだ。
めちゃんこざっくりだけどな。
霊夢
なるほど!
最初からそう言ってよ!
…それにしても、めちゃんこって…。
魔理沙
で、哺乳類ってことで魚類とは違うよな?
クジラはどうやって呼吸するんだ?
霊夢
え?
魚類と違う?
なんかものすごいでっかいエラがあるんじゃないの?
魔理沙
言うと思ったよ。
クジラってのは海洋生物のひとつではあるが、エラがなく海の中では呼吸ができない肺呼吸の生き物なのさ。
何せ、海中の酸素をこして取る器官がないんだからな。
霊夢
じゃあどうやって息継ぎしてんの?
まさか底にある岩をどけて、「ボコォ」って出た空気を吸い込んで…。
魔理沙
どこの波紋使いだよ。
ビートは震えねえから。
簡単な話だ。
海上へ出て、空気を吸い込むのさ。
霊夢
めんどくさっ!
魔理沙
めんどくさ言うな。
そんで、どうやって空気を吸い込むか分かるか?
霊夢
そりゃあ、あんだけ口でっかいんだから、顔面出してフォオオオオオオ!って…。
魔理沙
それこそめんどくさいだろ!
鼻孔、または噴気孔から行うんだよ。
霊夢
びこう?
ふんきこう?
そんなのあったっけ?
魔理沙
あるじゃないか。
頭というか背中に。
今回のテーマである「潮吹き」をする、その場所のことだよ。
霊夢
えーーーーー!?
あそこから空気吸ってんの?
ちょっとミスって、海水が掛かっちゃったときに思い切り吸い込んだら、「ぶへ!ごへ!がはぁ!」ってなるじゃん!
魔理沙
人間と同じ感覚で考えるなって。
海水を吸い込むと、鼻や肺の奥に海水が溜まって人間ならむせるが、クジラの場合は何も支障がないのさ。
霊夢
へー、そうなんだ?
でも、吸い込んだら吐かなきゃいけないし、水が溜まってるならそれも一緒にブシューって…ん?
魔理沙
お、言いながら気付いたみたいだな。
そうなんだ。
海面に出てすぐに空気をはきだすために、まだ体についている海水や、鼻とか肺の中やくぼみにたまっている海水がふき飛ばされる…それが潮吹きなんだよ。
霊夢
なるほど!
長年の疑問がついに解き明かされたよ。
魔理沙
インスタ映えとか言ってたクセに…。
そんで面白いことにこの潮吹き、クジラの種類によって異なるんだぜ?
霊夢
そうなの!?
回転したり七色に光ったりするんだ?
魔理沙
水芸でも噴水広場でもねえよ。
コククジラはれいなハート型、マッコウクジラはななめ前に噴出、シロナガスクジラに至っては単純に大規模で、10~15mほど上がることもあるみたいだぞ?
そのため、潮吹きでどのクジラがそこにいるのか、ある程度判別できるみたいなんだ。
霊夢
おおおおお!
見てみたい!
特にハート型!
魔理沙
結論を言うと、「呼吸時、息を吐く際に余分な海水を吹き飛ばしている」のが潮吹きとなるだろう。
なおよくある間違いとして、「吸い込んだ海水を潮吹きで吐き出している」ってのがあるから注意な?
霊夢
ふむ…インスタ映えじゃなかったってことか…残念。
でも海の中に住んでるし、いろんな場面でいらない海水を取り込むことなんてあると思うよ?
たとえばごはん食べるときとか、海の中なんだから絶対海水飲んじゃうじゃん。
そういうのを潮吹きで出しているのかって思ってたけど…違うんだね。
魔理沙
よくある勘違いの内訳だな。
てか、そもそも哺乳類の海洋生物は海水をほとんど飲まないんだぜ?
霊夢
そうなの!?
あんだけ水あるんだから、いっつも飲み倒してるのかと思ったのに…。
魔理沙
そんなことしたら単純に塩分過多だ。
そんで食事の件だが、クジラの場合実はああ見えて、さほど体内に取り込まれていないんだよ
霊夢
うそうそ、それはない。
海の中であんな大口開けて、海水飲み込まないわけないじゃん。
魔理沙
まあ他の海洋生物を食べるってことで、自然とそれに付着した海水は取り込むことになるんだが、そのほとんどは海中へ吐き出しているんだ。
霊夢
どうやって?
そんなことできるわけないよ。
魔理沙
ヒゲクジラを例にしよう。
ヒゲクジラは大きな口を開けて、オキアミなどのプランクトンを捕えるんだが…。
霊夢
そこでごっくんだよね?
魔理沙
違う。
歯というかブラシのような器官が口の中にあって、そこから海水だけを排出してエサだけを口の中に残すのさ。
霊夢
そんなことできるの!?
たしかにそれなら、エサだけを食べることが出来るよ…。
魔理沙
だろ?
だからそもそもよぶんな海水は摂取していないし、そうなると「塩水を吸い込んで潮吹きで吐き出している」って理論はおかしくなるのさ。
霊夢
ふむふむ。
でもやっぱりめんどくさいよ。
息継ぎで毎回海上に出てくるって、それだと海の中にほとんど居れないし、人間に狙われまくりじゃないの?
魔理沙
うん?
クジラの息継ぎがどんなサイクルか知ってるのか?
霊夢
へ?
息継ぎでしょ?
1分くらいが限界じゃない。
魔理沙
だから人間と一緒にすんなっての。
クジラの種類にもよるんだけど、一度空気を吸い込んだら15分~1時間は持つんだぞ?
2時間程度潜っていられる種類もいるんだ。
霊夢
なげぇぇぇぇぇぇぇ!!!
そ、そんなに潜ってられるの!?
魔理沙
そりゃあ、いくら肺呼吸だとしても、伊達に海洋生物じゃないよ。
霊夢
なるほどねぇ…だとしても、やっぱりめんどくさいのには代わりないと思うんだよね。
一体、なんでこんな進化しちゃったの?
素直にエラ呼吸しちゃえばいいじゃん。
魔理沙
もうそういう選択肢はないんだろうな。
霊夢
選択肢?
魔理沙
進化だよ。
もともとクジラの進化は、大雑把に言うと「地上に上がった哺乳類がやっぱ海にもーどろ」って感じだから、祖先からして肺呼吸なのは自明の理だ。
となると、もしエラが欲しいなら新しくエラを作らなければならないんだが、進化ってのは何かを切り捨てたり元あるものを発達させるのはそこまで困難じゃないんだが、「新たに作る」のは難しいことなんだよ。
そんで、エラってのは構造が複雑だ。その割に大量の酸素を確保できるわけじゃないから、大きな身体のクジラにはかえって不利になる可能性もあるだろう。
霊夢
長々とありがとう。
……うーむ、そういうことなんだね。
魔理沙
大体からして、特段現状で問題がある感じじゃないし、きっと今のところはそのままの形状で生き続けると思うぜ?
霊夢
でもさ、やっぱり致命的な問題があるよ。
眠るときどーすんのさ。
寝たら最後、溺れて海底まで沈んじゃうよ。
魔理沙
そこもクリアしている。
実はクジラやイルカの多くは、脳の半分だけ眠らせるって芸当が可能だから、それにより溺れずに眠ることができるんだよ。
霊夢
すげぇぇぇぇぇぇ!!
私もやりたい!
半分脳みそ眠らせて、ゲームのレベル上げとしかしたい!
魔理沙
クジラは怠惰を求めたわけじゃないぞ。
なおその現象を「半球睡眠」と呼ぶようだ。
クジラやイルカもそうだけど、渡り鳥にも見られるみたいだぜ。
霊夢
鳥も!?
結構メジャーな現象なんだね…。
ああ、ちょっと脱線しちゃったけど、一呼吸で1時間も2時間も平気だとか、一体どんな身体の構造してんだか…。
魔理沙
そこについてだが、少し難しい話をさせてもらうよ。
霊夢
あ…脳の半分が睡眠状態に…。
魔理沙
全部だろお前の場合。
きちんと噛み砕くから安心しろ。
そんで、まず血液中にはヘモグロビンとかミオグロビンなどがある…ってのは分かるか?
霊夢
ヘモグロビンは知ってるけど、もうひとつは聞いたことないなぁ。
魔理沙
ざっくりな説明になるけど、ミオグロビンってのは予備酸素なんだよ。
これがあることで、酸素が足りなくなった血液中に、緊急避難的に酸素を放出してくれるんだ。
なおヘモグロビンは、もう説明の必要はないだろう。
霊夢
なるほどなるほど…でもそれがどうかしたの?
魔理沙
潜水する動物ってのは、大抵人間よりもそのヘモグロビンやミオグロビンを多く持っているんだが、今回の場合だとこれらがクジラの潜水時間を長くしていると考えられているのさ。
霊夢
そういや、一呼吸で1時間も2時間も平気だったね。
でもさ、今の説明だけで1時間も2時間も耐えられるってのは、ちょっと納得できないかなぁ。
魔理沙
じゃあ質問。
クジラは1回の呼吸でどのくらい空気を吸うか分かるか?
霊夢
人間でどのくらいなの?
魔理沙
人間の場合は、1度の呼吸で肺の容量の15%程度を交換できるようだ。
霊夢
それと同じくらいじゃないの?
魔理沙
ところがどっこい、おおよそだが80%は交換してしまうって話なんだよ。
霊夢
肺活量やべぇぇぇぇぇぇぇ!
肺活量測るヤツやったら、どこかパーンってなるよ!
魔理沙
あの身体の大きさ、そして1度の交換量を考慮したら、それだけ長く潜っていられるのも納得できるだろ?
霊夢
たしかに!
いやー、そんな秘密があったとは…。
クジラが東京のど真ん中で深呼吸したら、周囲の人酸欠になるんじゃないの?
魔理沙
大丈夫だ。
そこにクジラが居たところで、自重に潰されて呼吸なんてとてもままならないからな。
そんで、潜水時間を長く儲けられる理由は他にもあるんだ。
霊夢
まだあんの!?
桁違いの空気吸う以外にもあるとか、もう「私、海で肺呼吸します」って覚悟ビンビンじゃん!
魔理沙
進化に覚悟もクソもあるか。
これはクジラに限ったことじゃないだけど、心拍数を下げるとか組織への血液供給を制限するとか、できるだけ酸素を節約するための方法を講じていることがあるんだよ。
霊夢
さらに節約するってことね…。
よく考えたら、肺呼吸の生き物が海の中でもしものことになったら、絶対生き残ることはできないからそのくらい保険があった方がいいのかも。
魔理沙
保険かどうかは知らないが、数段構えのシステムであるのは間違いないな。
さらにクジラの場合だと、二酸化炭素に対する受容性が低いとされているんだ。
霊夢
じゅよーせー?
何それ?
魔理沙
まず人間の場合、息を止めて暫くすると苦しくなるだろ?
あれは血液中に二酸化炭素が増えたことで、「はよ酸素よこさんかいボケ」という脳の指令なんだよ。
霊夢
なんで関西弁になったの?
魔理沙
だがクジラの場合だと、血液中にそれが増えたところで「ふーん」とか、「まあまだイケるんちゃう?」程度で、本能的な要求がそれほど強くないと考えられているのさ。
霊夢
あー分かった!
我慢強いんだ!
魔理沙
なんか違う気がするけど、その解釈でも別に構わない。
だからたった一呼吸でも、人間なんて比較にならないほど長く潜っていられるんだよ。
霊夢
海で生きる哺乳類としては、破格の性能だなぁ。
たしかに、伊達に哺乳類なのにわざわざ海に住んでないよ。
魔理沙
とまあ、クジラが潮を吹く理由は今回のとおりで、それに伴い疑問もある程度解決したと思う。
霊夢
うんうん。
潮吹きだけで、ここまで話が発展するってのもすごいけどね。
逆に言えば、そんだけクジラに対する疑問が多いってことかな?
魔理沙
知ってそうで知らない生き物って感じだからな。
知名度はバツグン、でも生態は不明っていうのはこの世の中の動物、決して少なくない。
霊夢
なるほどなるほど。
でも今回もよーーーーーーーーく分かったよ。
そっかぁ…インスタ映えじゃなかったんだぁ…。
まさか呼吸だとは…この霊夢の目をもってしても見抜けなかったわぁ!
魔理沙
お前の目が大したことなさすぎて辛い。
てなわけで、今回の解説を終わらせてもらうぜ。
霊夢
あいよ!
でも、結局クジラの潮吹きには乗れないのかぁ…叶えられそうなメルヘン第12位だったのに…。
魔理沙
1位~11位が気になるがあえて聞かない。
まあ霊夢の身体なら、シロナガスクジラの潮吹きだったら乗れるかもな。
霊夢
え!?
や、やったあ!
是非!
早くいこう!
魔理沙
ただ出すもの出したら、クジラはとっとと海中に行くからな?
その後お前は大海原にひとり。
サメに喰われたりサメに喰われたりサメに喰われたりするんだ。
霊夢
……魔理沙って、人の夢ブチ壊すの好きだよね……。
魔理沙
ということで今回は、クジラはどうして潮を吹くのか?について紹介しました。
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