冬眠中のクマは何日も食事をとらずになぜ生きているの?

霊夢
あー、寒い寒い。
魔理沙
まったくだな。
こう寒いと、お前を山上湖に突き落としたくなるぜ。
霊夢
どうしてすぐに○そうとするの!?
保険金そんなに掛けてないよ!?
それにしてもこんだけ寒いと、冬眠マスターの熊さんも参っちゃうよね。
魔理沙
別にマスターって訳じゃないけど、アホみたいな寒さだろうがクマは大丈夫なんだぞ?
霊夢
ほんとに?
お腹すかないの?
そんで、なんでそんなに食べなくて大丈夫なの?
体の仕組みもよく分かんないし、そもそもなんで冬眠なんてするのさ。
魔理沙
ぶちこんで来たな。
よし、それなら今から霊夢の疑問に答えてみせようか。
霊夢
おお!
こういう時は頼りになるなぁ。
魔理沙
と言うことで今回は、冬眠中のクマの疑問について解説するぜ!

そもそも冬眠って何?

魔理沙
てなわけで始めるわけだけど、まずは冬眠って何なのかってところから話さなくちゃいけないな。
霊夢
冬の間は、寝てるってだけの話でしょ?
魔理沙
まあ間違っちゃいないんだけど、正確には「巣穴に入って巣外活動をしなくなった時点から、巣外活動を再開するまでの期間」を言うんだよ。
それが冬期であるってだけの話で、だから総称で「冬眠」って言うのさ。
霊夢
へー。
一応定義みたいなものがあるんだね。
魔理沙
まあそんなところだな。
じゃあ冬眠する生物が何なのかって部分だが、これにも定義があって「24時間以上にわたり体温や代謝の低下等の、生理的な冬眠現象が確認されたもの」を指すんだ。
霊夢
あ、そっか!
24時間以内じゃ、普通に寝ただけになるからだね。
まあ、私レベルになると30時間とか寝られるけど。
魔理沙
その時は、晴れて冬眠扱いにしてやるよ。
なお日本においては、陸生哺乳類97種の内32種…つまり33%が冬眠をすると言われているぜ。
霊夢
け、結構多いんだね…。
魔理沙
調べてみて、私も意外だった。
そんでここまで話してみたけど、じゃあどうしてそんな冬眠なんてことをするのかって疑問になるよな?
霊夢
そうそう!
一生なんて短いんだからさ、冬眠なんて無駄なことやってないで外に遊びに行ってる方がいいじゃん。
魔理沙
100%人間の観点だな。
じゃあそろそろ本題に入って行こうか。
霊夢の知りたいと思われる内容は、今回全部で4つあるからひとつずつ説明していくよ。
霊夢
おっけー!
ひとつずつの方が分かりやすいよ。

①クマはなぜ冬眠をするのか

魔理沙
じゃあまずはひとつ目、今しがたあった疑問となる「クマはなぜ冬眠をするのか」から始めよう。
とは言っても、先に言ったとおり冬眠はクマに限ったことじゃないから、冬眠をする生物全般に言えることなんだけどな。
霊夢
クマさん基準でいいよ。
魔理沙
OK。
実のところこれは簡単だ。
まずクマって木の実も食べるけど、実はもともと肉食獣って過去があることは知ってるか?
霊夢
知ってる知ってる!
てか、どっちかって言うと肉食べるイメージの方が強いよ。
魔理沙
まあそういう考えもあるか。
で、その後進化して食べる物の9割以上を植物質に変えてしまっているんだ。
霊夢
なんで?
ずっとお肉だったのに、いきなりベジタリアンとかヴィー…。
魔理沙
やめろ。
それ以上言うのは絶対にやめろ。
必ずめんどくさいことになる。
で、理由はその土地や環境に合わせた進化と言えるだろう。
霊夢
たしかに、日本の山中で完全に肉食とかすぐに食べるものなくなるよね。
グリズリーみたいに、鮭採って生きていけるクマなんてごく少数だろうし。
魔理沙
だろ?
そんなこんなで結局雑食に落ち着いたんだけど、それでも真冬には食べるものがなくなるのさ。
霊夢
あ、分かった!
「どーせ食べるものが無ぇんだから、もうとりあえず寝ちまおうか」ってことか!
魔理沙
なんでちょっとやさぐれてんだよ。
でもその一言が、答えのすべてだったりするのがちょっと悔しい。
霊夢
そりゃ「真冬」で「食べるものがない」って言われたら、さすがにピンと来るよ。
魔理沙
それもそうだな。
つまり、食べるものが取れない時期はとりあえず眠りこけて、無駄なカロリーを使わないよう制御しつつ生きていくようになったのさ。
霊夢
ふむふむ、なるほど!
でもさ、寝ているからってお腹はすくわけじゃん?
そうなったら、嫌でも食べ物探しに行かなくちゃいけないでしょ。

②なぜクマは冬眠している間お腹がすかないのか

魔理沙
いい質問だ。
じゃあこのままふたつ目に行こうか。
お次は「なぜクマは冬眠している間お腹がすかないのか」について説明するぜ。
霊夢
これが個人的には一番気になるよ。
魔理沙
実際問題、何も食べていないからな。
じゃあまず、クマの冬眠の仕方についてから説明することになるんだけど、クマってのはいわゆる「脂肪貯蓄型」の冬眠をするんだ。
霊夢
脂肪を貯蓄するんだね!
…そのままか。
魔理沙
そのままだ。
冬眠に備えて、それはもうアホみたいにいろんなもの食い散らかしてから眠りに入るのさ。
霊夢
もっと他に言い方無かったの…?
魔理沙
一方で、リスとかの小動物の場合は「貯食型」と言って、冬眠場所に食料を貯蔵しつつ冬眠中に目覚めた際に食事をするタイプもあるんだよ。
霊夢
あ、リスとかは起きるんだ?
魔理沙
ああ。
こういう小動物の場合は1~2週間に1回の頻度で、数十時間の覚醒をするっていうサイクルを繰り返すんだよ。
そうじゃないと、あの小さな体じゃ冬眠期間中飲まず食わずってのは耐えられないからな。
霊夢
あ~…なんか分かって来た!
クマは体が大きいってことで溜め込むことが出来るから、眠る前にめっちゃ食べてそれで一気に冬眠を乗り切るんだね。
魔理沙
正解だ。
もっとも、それでお腹がすいてるのかすいてないのかと言われると、食べてないんだからお腹はすくと思う。
だが、それと耐えられるか否かってのは別問題で、クマは耐えられるから特段何かを食べようとしないってことなのさ。
食べようとしたところで何もないけどな。
霊夢
へーーーー、なるほどなるほど!
てことは、クマって言うのは冬眠中に絶対起きないんだね。
魔理沙
いや?
メスのクマは冬眠中に出産して授乳をするし、起こそうと思えば起こすことが出来る。
ただそれをすると、とんでもないことになるけどな。
霊夢
……一応聞くけど、どうなるの?
魔理沙
冬眠中のクマが起きた場合、まず周囲を徘徊するクセがあるそうだ。
その後再び冬眠に入るみたいだけど、これまで何も食べていないことから空腹で気が立っていることが多いんだよ。
よって、そこに人間が通り掛かると…。
霊夢
ぶるぶる。
でもさ、いくら食い溜めしたからって、なんで飲まず食わずで長期間生きていけるわけ?

③冬眠中のクマは何日も食事をとらずになぜ生きているの?

魔理沙
そいつもいい質問だから、このまま次に行こう。
みっつ目は「冬眠中のクマは何日も食事をとらずになぜ生きているの?」についてだ。
霊夢
これもかなり気になってた。
どんだけ食べても限界があるよ。
魔理沙
そこなんだけど、まずクマの冬眠の期間についてなんだけど、ヒグマの場合だと七ヶ月になるそうだ。
霊夢
そんなにぃぃぃぃぃ!?
それだと、やっぱりなんで生きてるのかが不思議だよ!
魔理沙
普通に起きて、ぼんやりしているだけでもおそらく死ぬだろうな。
霊夢
だったらなんで…。
魔理沙
細かい数字を出すけど、まずアラスカに生息するアメリカクロクマの場合だと、通常の体温が38~39℃とのことだが、冬眠中はそこから5~6℃下がるのさ。
霊夢
うん?
体温が下がったから何なの?
魔理沙
かなり代謝機能が落ちるんだ。
通常時は1分間に55回程度の心拍数なんだけど、冬眠中は1分間でなんとたったの9回にまで落ちるのさ。
霊夢
めちゃめちゃ下がってるじゃん!!!
魔理沙
割合にして1/6。
こんな単純計算じゃないんだけど、これで半年冬眠するクマだったら、実質1ヶ月程度しか飲まず食わずじゃないってことだ。
霊夢
生きてるだけでカロリー使うって言うし、ほぼ死にかけみたいな状態になってるってことなんだから、これについては納得できるよ…。
魔理沙
ちなみにヒグマの場合、七ヶ月の冬眠で15~37%体重が減少するそうだ。
80kgくらいのクマだとすると、おおよそ16kgくらい減るってことだな。
霊夢
寝るだけでスリムボディ!?
女性の間でこのダイエットが流行るよ!
魔理沙
強制的に冬期レイオフじゃねえか。
世の中そんなに甘くねえよ。
そんで、ここまで聞いてやっぱりクマの体がどうなってんのか疑問になるだろ?
霊夢
そりゃそうだよ!
一体どんな体の作りしてんのさ!

④冬眠中のクマの体の仕組み

魔理沙
てなことで次はそれだ。
よっつ目は「冬眠中のクマの体の仕組み」について説明するぜ。
霊夢
そこはたしかに気になるね。
体内で栄養製造工場でもなきゃ納得出来ないよ。
魔理沙
実はそれに近いものがある。
霊夢
なん…だと…?
魔理沙
「リサイクル機能」とでも言うのかな。
クマって、これまでの内容のとおり眠る前にめちゃくちゃ食べまくるのは、すでに分かってもらっていると思う。
霊夢
だね。
そんだけ食べたらさすがにぶくぶく太っちゃうよ。
まあでも、冬眠でまた痩せるわけだけど。
魔理沙
実はその、太ってから痩せていくプロセスの中に秘密があるんだ。
毛皮の下に蓄えた脂肪ってのは、完全に分解されると水と二酸化炭素になるんだけど、その際に出た水を水分として吸収していくのさ。
霊夢
クマすげええええええええ!!
そんで、栄養については脂肪で何とかしのいでる、と…こりゃ完璧なシステムだよ…。
魔理沙
なお、その分解で得られる水分は、1日あたりで700ml…これは、冬眠中のクマが1日に必要とする水分とほぼ同じなんだぜ?
霊夢
分量まで完璧なの!?
数ヶ月の永久機関じゃん!
魔理沙
数ヶ月なら永久機関じゃねえだろ。
これによりクマは、何ヶ月も飲まなくても体内の水分のバランスは取れているし、食べなくても脂肪でしのげている…そういう結論になるな。
霊夢
でもさ、食べ物がない状態で栄養をひねり出す場合って、筋肉から使われなかったっけ?
魔理沙
よく知ってるじゃないか。
そう、一般的な哺乳類の場合だと、飢餓状態となった場合は内蔵または筋肉を分解して、必要なたんぱく質やアミノ酸を作り出さないといけない。
よって、食べ物がない状態だと普通ならどんどん筋肉は萎縮していくんだ。
だがクマにはそれがない。
霊夢
ええええ!?
なんでクマだけ例外なのさ!
魔理沙
その秘密は「尿」なんだ。
霊夢
尿タイプ!?
魔理沙
ニュータイプっぽく言うな。
めいっぱい地球の重力に縛られてるっつーの。
簡単に言うぞ?
尿として排泄されるはずの尿素を、膀胱から再吸収して分解、そしてたんぱく質やアミノ酸を作り出すことが出来るんだよ。
霊夢
……マジで体内に工場があった……。
魔理沙
ああ、ちなみに便については、何も食べてないなりに少々は便となるようだけど、少量なのでそのまま腸に残しておくそうだ。
霊夢
そのまま出ちゃわないの?
魔理沙
眠る前に食べまくる際、その最後辺りに松油を食べて肛門に栓をすることがあるんだってさ。
霊夢
そこまで考えてんのか…こりゃ人間も一本取られたよ。
魔理沙
とまあ、とりあえず疑問となりそうな部分だけ答えさせてもらったぜ?
まだ他にもあると思うけど、それはおいおい話していくとしよう。
霊夢
いやいやいやいや…これはほんと勉強になったなぁ。
冬眠って、ただただ冬の間眠ってるだけだと思ったのに、まさかそんな背景があってそれを成せる体の構造してるってさぁ…そりゃバカスカ寝ちゃうよ。
魔理沙
つまり、「そのための」体になってるってことだな。
以上で、今回の解説を終わりにさせてもらうとするよ。
霊夢
とにかく人間には無理ってことだね。
体の構造からしてそうなっていないんだから。
魔理沙
いや、お前なら私は出来ると思うぞ?
霊夢
も、もしかして、それは私が選ばれし人間だからってこと!?
ついに魔理沙、私のポテンシャルを理解したんだね!
魔理沙
ああ!
さあ、早く冷凍庫に入るんだ!
すぐに眠くなるからさ。
霊夢
そりゃ冬眠じゃなくて、凍○って言うんだよクソが!
あと、なんで隙あらば始末しようとするの!?
魔理沙
非常食になるからに決まってんだろ!!!!!
霊夢
あ、あれ……逆ギレ……?
魔理沙
ということで今回は、冬眠中のクマの疑問について紹介しました。