コウモリは頭を下にぶら下がっているが頭に血は上らないのか?

霊夢
…………
魔理沙
なーに見てんだよ?
もうすぐ夜だし、空見上げても星くらいしか見えないんじゃないか?
霊夢
コウモリだよこーもり。
まーたパタパタ飛んでるねぇ。
魔理沙
まあ場所にもよるけど、夕暮れの空はコウモリの楽園だからな。
霊夢
なんか変わった生き物だよね。
よくよく考えてみると、間近で見たことないし。
…そこで魔理沙。
魔理沙
そうだな。
他の生き物と比べても、コウモリ「だけ」ってのが少なくない…って何だよ。
霊夢
質問コーナーよろしく!
いろいろあるんだよねー!
魔理沙
分かった分かった。
じゃあ今回はコウモリの生態の謎についてお答えするぜ!

コウモリってどんな生き物?

魔理沙
と、その前に、まずはコウモリってのがどんな生き物からってところなんだが、霊夢はどこまで知ってる?
霊夢
飛ぶってのと、血を吸うってくらい。
魔理沙
血を吸うコウモリって、コウモリ自体世界に1,300種くらいいるけど、その中でも3種程度しかいないんだぜ?
霊夢
すっくなぁぁぁぁぁ!!
コウモリイコール血ぃ吸うヤツじゃなかったの!?
魔理沙
ドラキュラに毒され過ぎだ。
頭の血、吸われたんじゃないか?
霊夢
なんだ頭の血ってコラ。
…で、どんな生き物なの?
魔理沙
コウモリってのは哺乳綱翼手目の生き物なんだけど、翼をもち完全な飛行が可能な哺乳類って実はコイツだけなんだよ。
霊夢
そ、そうだったの!?
あ、いや、モモンガとかムササビとか居るじゃん!
魔理沙
ありゃ滑空しているだけだ。
コウモリみたいな飛行能力はない。
霊夢
そうなんだ…哺乳類で唯一とか、なんか選ばれし者だね。
魔理沙
オンリーワンは、決して優れてるって意味じゃないぞ。
そんで日本にもいくつか種類は居るんだけど、見掛けるのは大抵「アブラコウモリ」、別名イエコウモリだな。
霊夢
アブラでも吸うの?
魔理沙
「吸」から離れろ。
ほら、今そこで飛んでるのもたぶんアブラコウモリだぜ?
平野部に広く分布していて、東京都心をはじめとする都市部の市街地にも数多く棲息しているんだ。
ちなみに分布は、シベリア東部からベトナムにかけてのアジア大陸、台湾および日本で、国内じゃ北海道道央部以北を除くほとんど全国にいるのさ。
霊夢
あ、あれ?
コウモリって洞窟に居るんじゃなかったっけ?
てか、なんで洞窟に居るのかよく分かんないけど。

①コウモリはなぜ洞窟にいるのか

魔理沙
じゃあぼちぼち本題と行こう。
ひとつ目の質問はそれでいいか?
霊夢
おっけー!
他のもあるけど、自然と沸いた疑問から解決しよう。
魔理沙
よし、じゃあどうしてコウモリが洞窟にいるのかって話だが、まず前提としてコウモリってのは洞窟に限らず何処にでもいると言っても過言じゃない。
霊夢
洞窟のイメージが強すぎるんだよね…
魔理沙
それはあるだろう。
そんで洞窟以外だと家屋の瓦の下、羽目板と壁の間、戸袋の中、天井裏、換気口など建物の隙間、高層ビルの非常口裏、道路や鉄道等の高架や橋の下、大型倉庫内…
霊夢
そんなにあるの!?
じゃあもう、あんなずーーーっとジメジメした洞窟なんかに住まなくていいじゃん。
魔理沙
いや、やはり環境面で言えばコウモリにとって最適な住処は、やはり洞窟と言えるだろう。
て言うか、何気に霊夢は答えを言ってしまったんだけどな。
霊夢
答え?
ずっとジメジメしたってのが?
魔理沙
ああ。
ずっとジメジメしてるってことは、良くも悪くも湿度が一定なんだよ。
そして洞窟ってのは、分厚い岩盤とか岩とか土とかに覆われていることから、外界の温度が侵入せず多くは気温も一定だ。
霊夢
ふむふむ。
それが関係あるってこと?
魔理沙
そのとおり。
見た目で分かると思うが、コウモリって小さいよな?
霊夢
う、うん…そうだけど?
魔理沙
それには理由があるんだ。
哺乳類で唯一飛行能力を獲得したコウモリなんだけど、その分軽量化が必要だったために身体の筋力も最小限にまでそぎ落としているんだ。
霊夢
まあ「飛ぶ」って、身体が相当軽くないと難しいそうだもんね。
身体が小さいどころか体毛もないし…
魔理沙
だろ?
そのために、恒温動物でありながら体温を維持出来ない作りになっているのさ。
つまり、身体の温度が上がったり下がったりしやすくなるんだけど、それって辛いだろ?
霊夢
あああああ分かった!
だから気温も湿度も一定の洞窟が過ごしやすいんだ!
魔理沙
正解だ!
さらに、いわゆる「天井にぶら下がる」などの休憩時、コウモリの体温は省エネとなり15度程度まで低くなるとされているから、そこで外界の影響があるのは身体に負担だ。
そのため、環境が安定している洞窟に身を潜めているのさ。
霊夢
そういうことなんだ…
いやー、よく考えてるねぇ。
でもさ、洞窟以外に住むコウモリも多いわけで、そのコウモリは洞窟からはじき出されちゃったってことなの?
魔理沙
そういう訳じゃないみたいだぜ?
たしかに温度と湿度の安定ってのは、生命を維持する上で非常に重要だ。
しかしコウモリにとって住処に求めるもののうち、温度と湿度と同じくらい重要なものがあるからなんだよ。
霊夢
羽目板と壁の間、戸袋の中、天井裏とか、みーんな狭いところだよね。
うーん…なんだろ?
魔理沙
外敵だ。
コウモリの天敵は主に猛禽類となるんだけど、あいつらは比較的身体が大きい。
でも狭いところに隠れることで、難を逃れているのさ。
霊夢
な、な、なるほどーーーーーー!
家の隙間とか、ワシとかタカなんて絶対入れないもんね。
魔理沙
そうそう。
アブラコウモリに限って言えば、1.5cmの隙間があれば入り込むことが出来るんだ。
となると、天敵から襲われる可能性は0と言ってもいいだろう。
霊夢
納得しちゃったよ!
洞窟にいる理由どころか、街中にいる理由まで判明とか、魔理沙なかなかやるね。
ほら5点。
魔理沙
何点取ったらどうなるんだよ。
とまあ、この質問に関してはここまでだ。
他に何があるんだ?

②コウモリは頭を下にぶら下がっているが頭に血は登らないのか?

霊夢
あ、そうそう。
さっき天井にぶら下がるって話があったけど、その時って頭に血が上らないの?
私たちがそんなのやったら、後で暫くちょっとしたパンチドランカーだよ?
魔理沙
ボクサーをナメてんのかお前は。
まあその質問はあると思った。
人間が逆さになると、頭の血が上るだけじゃなくて体調不良に繋がる恐れがあるからな。
霊夢
でしょ?
たしかコウモリって、夜行性だからお昼のほとんどは休憩…つまり、ずっと逆さになってるってことじゃん?
アレ、絶対みんな後でフラついてるよ。
魔理沙
なんでコウモリ全体がフラつくんだよ。
そんで結論から言うけど、実はコウモリって頭に血が上るほどの血液量がないんだ。
霊夢
はぁぁぁぁ!?
要するに、血が少ないってこと!?
そんなので生きていられんの!?
魔理沙
さっき、コウモリは飛ぶために軽量化されてるって話しただろ?
それは筋肉量だけじゃなくて、血液も対象なのさ。
よって、そもそもから血液が少ないので人間みたいに逆さになった時、大量の血液が頭に巡るようなことなんてないんだよ。
霊夢
そ、それでも逆さの方が疲れない?
頭に血が上らないとしても、ずっと逆さとか何か不自然だよ。
魔理沙
人間の杓子定規に当てはめればそう思うのも無理はないな。
だが、何度も言うがコウモリは非常に軽い生き物だ。
世界最大種のコウモリでさえ、体重は1kg程度と言われている。
霊夢
たった1kg!?
そ、そんなに軽いの!?
あ、でもやっぱりしんどいはずだよ!
だって、さっき筋肉量が少ないって言ったじゃん。
それだと、たとえ1kgしかなくてもずっと天井にしがみついてるなんて、絶対に疲れるよ!
魔理沙
別に、コウモリは筋力で天井に張り付いてる訳じゃないぜ?
霊夢
なん…だと…?
魔理沙
コウモリは「腱」でしがみついているんだ。
コウモリの腱って独特な進化をしてて、ノコギリの刃のようなギザギザと腱を包む部分が噛み合うことで、足が伸びた状態で固定されるのさ。
霊夢
えーーーーーっと…つまりは歯車みたいなものかな?
魔理沙
いい例えだ。
だから疲れない。
ただ「引っ掛かっているだけ」なんだからな。
霊夢
なんてこった!
まさに天井にぶら下がるための足じゃん!
魔理沙
そういうことだ。
ただし足なのにまったく歩行能力がなく、地面に落ちた際は這って動くみたいだぜ。
霊夢
まあ何かを犠牲にしなくちゃ、こんな特殊能力身に付けられないよ…
魔理沙
とりあえず以上だ。
さあ、他に質問はあるか?

③コウモリは、なぜ暗い中を飛び回れるのか

霊夢
うん。
最後になるけど、コウモリが夜行性ってのは分かるんだけど、なんで暗いところバンバン飛び回ってんの?
鳥目とかないの?
視力が30.0くらいあるとか?
魔理沙
鳥じゃないし、視力30.0ってなんだよ。
そんで霊夢、反響定位って知ってるか?
霊夢
何それ?
魔理沙
エコーロケーションだよ。
霊夢
ああ、ト〇コのゼブ〇ラが使ってたヤツ?
魔理沙
漫画は置いとけ。
あとゼブラが伏せられてねぇ。
それと、あんな大規模で障害物無視のエコーロケーションあるかよ。
霊夢
突っ込み長いなぁ。
そんで、それが一体何なの?
魔理沙
超簡単に言うと、自分が発した音が何かにぶつかって返ってきた際に、その方向とタイムラグで自分の位置を知るってことだ。
霊夢
????
魔理沙
えーっと…つまりだな、壁に向かって「あー」と言ったら、多少は跳ね返ってくるだろ?
その跳ね返ってくる時間で、今自分が何処にいるのかを判別するんだよ。
魚群探知機も仕組みは同じだな。
霊夢
SUGEEEEEEEEEEEEE!!
あ、でもさ、コウモリって集団で生活してるよね?
となると、そこら中パタパタ飛んでるわけで、それもエコーロケーションでどうにかなるの?
めちゃめちゃ動いてるから、位置とか気付いてもすぐに場所変わると思うんだけど。
それにさ、集団生活だと自分の出した音かどうかの判別も難しそうじゃない?
魔理沙
いい質問だ。
実はその際、コウモリはお互いで発する音の周波数を変えて、きちんと差別化してるんだ。
霊夢
どんだけ高性能なの!?
魔理沙
さしずめ、パーティ中の雑談だな。
人間は誰が何を話しているのか分からないけど、コウモリはそれが分かるってことさ。
霊夢
ふえ~……。
てことは、エサを探すのもそれでやってるんだ?
魔理沙
そのとおり。
しかもコウモリの場合、今追っているエサだけじゃなくて「次の」エサも先読みして、その位置を確認しているって話だな。
霊夢
そこまでやってんの!?
狙われる方もたまったもんじゃないね…
魔理沙
まったくだ。
まあ植物を食べる種類とかは、エコーロケーションじゃなくて視覚情報で探しているみたいだけどな。
多くのコウモリは目が退化していて、音を発して何かをするってのが多いようだ。
霊夢
でもさ、聞いてるだけだから今ひとつピンと来ないなぁ。
ほんとにそんなことやってんのって感じ。
魔理沙
実はコウモリって結構研究されてるんだぜ?
ある研究チームは、超音波を記録できる重量わずか0.6gの超小型録音機を開発して、コウモリの発する音の研究を行ったんだ。
霊夢
ど、どんな内容なの?
魔理沙
アブラコウモリじゃない、日本に広く分布しているユビナガコウモリにそれを装着して、屋内で4匹の集団を計6組飛ばす場合と、単独で飛ばす場合についてそれぞれの超音波を記録して分析したんだ。
霊夢
すごいことやってるなぁ…
そんで結果は?
きちんとエコロケってたの?
魔理沙
テレビの収録みたく言うな。
その結果、同じ組の4匹が集団で飛行した場合の超音波の周波数の幅は平均1.1KHzとなり、単独で飛ぶ際の平均約0.6KHzの倍近くに広くなっていたのさ。
霊夢
要するに、きちんと声色を変えて集団生活を送ってるってことか…
これって、もっと研究したら何かに使えそうだよ。
魔理沙
実際、超音波センサーの開発などに仕組みを応用出来るんじゃないかって、研究が進められているみたいだ。
さらに、ロボットが自立して動く研究にも役立ちそうだし、さらにはロボットたちが自律的に強調して動く仕組みの開発にも役立つ可能性があるとか…
霊夢
すげえ!
いやー、ほんとすごいねコウモリって。
最初に魔理沙がコウモリ「だけ」の何かが多いって言ってたけど、ほんとにそうだったし人間の役にも立てそうですごい生き物だって思うよ。
魔理沙
まったくだ。
まだまだ分からないところもあるみたいだけど、それは今後の研究で明るみになるってところかな?
時間は掛かりそうだけど。
霊夢
そっか…そっかぁ…なるほど、うーむ。
それにしても、ひとつくらいコウモリの能力が欲しいなぁ。
魔理沙
エコーロケーションあたりか?
でも、人間社会で使うことなんてほとんどないんじゃないか?
霊夢
あるある!
出かける前にそれ使って人を発見したら…
魔理沙
発見したら?
霊夢
自宅から出ない。
魔理沙
ヒキ〇ウモリか。
魔理沙
ということで今回は、コウモリの生態の謎について紹介しました。
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