電気ウナギはどうして電気を作れるのか?

霊夢
ぎゃああああああああああ!
魔理沙
ど、どうした霊夢!?
霊夢
あががが…掃除機のコンセント触ったら感電しちゃったよ…
魔理沙
ふむ…って、そりゃ感電するわ!
濡れた手で触んな!
良かったな、相手が電気ウナギじゃなくて
霊夢
電気ウナギ?
魚が作る電気なんて、大したことないでしょ。
魔理沙
何言ってんだよ。
ウチで使ってる電気よりも強力なんだぜ?
霊夢
うそん!?
さすがにないない!
それに、そんな電気どうやって作ってるのさ。
魔理沙
じゃあそこについて教えてやろう。今回は、電気ウナギはどうして電気を作れるのか?について紹介するぜ!

デンキウナギの基本情報

魔理沙
てなことで、まずはこの電気ウナギがどんな生き物かについてなんだが、霊夢はどの程度知ってる?
霊夢
電気作るヤツ。
魔理沙
簡単過ぎるな。
もっと、こう…何かあるだろ。
まあいいけど…そんで電気ウナギってのは、正式には「デンキウナギ」とカタカナで書くんだよ。
デンキウナギ目ギュムノートゥス科デンキウナギ属に分類される、硬骨魚類の一種だ。
霊夢
ぎゅ、ぎゅむ…とぅーす?
ウナギの仲間じゃないの?
魔理沙
ああ。
円筒形、名前にウナギ、色合いなども近いことから、日本人が見るとよく見るいわゆる「うなぎ」の仲間に思えるけど、分類はまったく別の魚となるんだよ。
霊夢
なんか赤っぽい以外ほぼウナギなのに、まったく違うんだ?
不思議だなぁ…
魔理沙
そんで、棲息場所は南米北部のアマゾン川並びにオリノコ川で、流れの緩い場所や池を好むようだ。
特徴的なのは、エラがあるにも関わらず空気呼吸をするところで、時折水面に顔を出さないと死んでしまうって話だぜ?
霊夢
南米ってそういう魚多いよね。
溺れちゃう魚とか…
魔理沙
ハイギョなどがいい例だな。
これはあの地域にありがちな淀みとか、水の交換がうまくなされない場所でも生きていけるようになった、いわゆる進化だと言えるだろう。
霊夢
ふむふむ。
進化かぁ…でもさ、そこで電気は必要ないよね?
一体何に使うのさ。

電気を起こす魚

魔理沙
いろいろと使えるんだぜ?
電気を起こす魚は発電魚、または電気魚と言って、その中の大多数は「弱電魚」に該当するんだが、そいつらは電気をレーダーにしてエサを探したり障害物を避けたり、仲間とのコミュニケーションツールとして使用しているのさ。
霊夢
大多数は弱電魚だから、少数は「強電魚」になるのかな?
魔理沙
正解だ。
強電魚は3種、シビレエイ、デンキナマズ、デンキウナギとなるぞ。
霊夢
強電とかおっかないなぁ。
どのくらい強いの?
豆電球光らせるくらいはあるのかな。
魔理沙
豆電球?
とんでもない。
さっきの3種、それぞれ最大で60V、300V、そしてデンキウナギは800Vの電気を生み出すんだぞ?
霊夢
はっぴゃく!?
たしか一般家庭の電気って100Vだよね!?
8倍!?
触ったら骨が見えちゃうよ!
てか、どうやってそんなとんでも電気生み出してるのさ!
魔理沙
昔の漫画じゃねえよ。
とまあ電気ウナギの概要はここまでにして、どうしてそんな強い電気を生み出せるのかについて触れていこう。
霊夢
ま、まさかピカ…
魔理沙
おっとそこまでだ。
最後に「チュウ」が付くヤツは関係ないからな?
そんで霊夢、実はどんな生き物でも電気を生み出せるって知ってるか?

実はどんな生き物でも電気を生み出せる?

霊夢
んなわけないじゃん!
全員発電機とか、スパイ〇ーマンも真っ青だよ。
魔理沙
全員エ〇クトロじゃねえよ。
正確には電気信号と言って、電気と言ってもかなり弱いものなんだけどな。
実際、筋肉を動かすにしても脳からの電気信号だし、心臓を動かすにしても洞結節と呼ばれる部分からの電気信号によるものなんだ。
霊夢
身体に電気が流れてるってピンと来ないなぁ…
魔理沙
身体に流れる電気の状態を知る方法があるじゃないか。
脳波とか心電図とか知ってるだろ?
アレは身体の電気信号で描かれる波形なんだよ。
霊夢
あーーーーーー!
アレか!
魔理沙
それだけじゃなく、筋肉を動かすことでも微弱な電気を起こすことができるんだが、このように生物ってのは電気ウナギに限らず電気と密接な関わりがあるのさ。
霊夢
つまり、電気ウナギは生物の中で電気を起こす力に特化してると?

デンキウナギの発電器官について

魔理沙
その解釈でいいと思う。
今筋肉を動かすことでも電気が起こると言ったが、電気ウナギには発電器官と呼ばれる「発電のための」筋肉が備わっているからな。
霊夢
ほえー…発電のための身体に進化したんだ。
進化系っていろいろあるけど、ほんと千差万別だわ。
でも「発電器官」ってまとめちゃってるけど、どんな仕組みなの?
魔理沙
発電する筋肉が板みたいな形状になっていて、それが並んでいるイメージだな。
霊夢
え!?
いくつもあるの!?
魔理沙
ひとつひとつの細胞が生み出す電気はとても弱いんだ。
しかしそれらが多量にあり、さらに積み重ねることで強力な電気となるのさ。
霊夢
でもさ、生み出した電気同士がバチバチなったり、うまく発電できないなんてあるんじゃないの?
魔理沙
それが驚くべきことに、板状になっている発電器官には表裏があって、それぞれ発電細胞の層と絶縁性細胞の層に分かれているのさ。
後で説明することになると思うが、何もしなければそれらの細胞により電気は流れない仕組みになっているんだよ。
霊夢
はぁぁぁぁ!?
つまり、板状のものが片面発電して、片面絶縁してるってことだよね?
…ん?
発電器官が並んでいて、電気は一方通行、それが積み重なって大きな電気…
魔理沙
……
霊夢
……
魔理沙
……
霊夢
直列つなぎか!!
魔理沙
よく分かったじゃないか。
発電器官を直列つなぎで通過することで、各細胞で生み出される電気は足し算となり、強力な電気になるってことだ。
霊夢
それで800Vとか、その板状のものって一体どんだけあるのさ。
魔理沙
数千個とのことだぜ。
個体差はあるようだがな。
その板1枚じゃ、たった0.15V程度しか発電しないみたいだし。
霊夢
す、数千個…?
えっと、何が目的でそんな兵器みたいな身体になったのかな…

何を目的に発電するのか?

魔理沙
ああ、そこか。
さっき弱電魚はレーダーなどに使ってるって言っただろ?
強電魚の場合はもっと直接的なもの…つまり攻撃手段であり、防衛手段でもあるのさ。
霊夢
弱電魚が補助的に使うのに対して、強電魚は主力で使うんだ?
魔理沙
そのとおり。
捕食のための狩りで使用することもあれば、捕食されそうになった際に身を守るために使用するんだよ。
ちょっと探せば見つかるんだが、ワニに噛まれた際に発電してそのワニを倒したなんて動画があるぜ?
霊夢
ワニぃぃぃぃ!?
サイズが全然違うじゃん!
そんな大きな生き物も倒せるの…って、よく考えたら800Vか!
人間も死ぬじゃん!
魔理沙
人間の場合はそう簡単にはやられないみたいだけどな。
ただ、人間が攻撃を喰らうと硬直してぶっ倒れるみたいだが…
霊夢
怖いわ!!!
てか電気ウナギってめちゃめちゃ強くない?
魔理沙
まあな。
少なくとも生息域では、頂点捕食者というカテゴリだからな。
ちなみに、馬も倒してしまうらしい。
霊夢
戦闘力高すぎるでしょ…
ちなみに、電気ウナギってどうやって発電してるの?
板とか流れとかじゃなくて、電気が生まれる瞬間っていうか…

デンキウナギはどうやって発電してるの?

魔理沙
ああ、そこな。
電気化学勾配っていうんだけど、少々小難しい話になるぞ?
可能な限り噛み砕くけど。
霊夢
わ、分かりやすくね!
魔理沙
頑張ってみる。
まず興奮していない状態…つまり神経刺激がない場合はいずれの細胞膜においても、カリウムイオンってのが細胞外に排出されるんだ。
これにより、細胞膜における膜電位が相殺することにより電位差がなくなるから、発電することはないのさ。
霊夢
無理。
もう無理。
魔理沙
早すぎるんだよなぁ。
えーーーーーっと、乾電池でプラス同士だったりマイナス同士だったりすると、電気が通らなくなるだろ?
霊夢
お、私に分かる感じの話!
そうそう、直列つなぎの実験で豆電球光らせるときに、プラス同士にしたりマイナス同士にすると光らないもんね
魔理沙
つまりはそれだ。
まあ乾電池の場合だと、3つ以上つなげると豆電球が光ることがあるし、しかも逆に入れた電池が充電されてめっちゃ危険ってのがあるから、厳密には違うんだけど
霊夢
いいよいいよ。
乾電池にしてもらうと分かりやすいし。
魔理沙
適当だな…
まあその状態が、電気ウナギが冷静な状態ってことだ。
じゃあ興奮した場合だが、その際は細胞膜が開いて発電細胞にナトリウムイオンってのを送り込むことになるんだ。
そうなると片側の細胞膜の電位の向きが反転して電気が通る…つまり発電するのさ。
霊夢
え?
え?
え?
え?
え?
魔理沙
まだ分かってねぇ。
要はこれまで細胞外、片面の発電細胞の膜、もう片面の発電細胞の膜、細胞外と、それぞれプラス、マイナス、マイナス、プラスで電気の流れはなかったんだ。
電池で言うなら、出っ張ってない方同士を合わせた状態だ。
霊夢
な、なるほど!
それで?
魔理沙
それが、ナトリウムイオンが発電細胞に入り込むことで、さっきの順でそれぞれマイナス、プラス、マイナス、プラスに変化するんだよ。
霊夢
つまり直列つなぎになるから…
魔理沙
……
霊夢
ああああああ!
そこで電気が通るんだ!
魔理沙
よし、分かったな。
で、板は数千個あるわけで、そこを通るごとにだんだん電気が強くなっていき、800Vという代物を作り出すわけだ。
霊夢
な、な、な、な、なるほど~~~~~~~。
やっと分かったよ!
魔理沙
さらに驚くべきことに、電気ウナギはこの電気の流れを調節できるようで、弱電も生み出せるんだよ。
つまり、弱電魚のようなレーダー等の使い方もできるのさ。
霊夢
高性能過ぎない!?
…あれ?
ひとつ気になっただけど、そんなわけ分かんない電気出しておいて、自分は感電しないの?
魔理沙
多少は自身も感電してしまうようだぜ。
だが電気ウナギには脂肪がたっぷり詰まっていて、それが絶縁体の役割をすることで最小限のダメージになるのさ。
霊夢
フォローもバッチリ!?
なんだコイツ!
こんだけ高性能なら、絶対何かに使えるよ!

生物発電所ができないかという研究

魔理沙
実際その研究は進んでいるみたいだぜ?
霊夢
もうやってたぁぁぁぁぁぁ!
魔理沙
電気ウナギじゃないが、さっき話した強電魚の1種であるシビレエイを使って、生物発電所ができないかという研究がなされているんだ。
霊夢
ポケモンの世界なら、ピカチュ〇電線にくくりつけたら一発解決なんだけどなぁ。
魔理沙
非人道的すぎるわ。
まあこの研究も倫理上の問題が孕んでいるから、どこまで続くかは分からないけどな。
霊夢
え!?
エイに何かひどいことするの!?
魔理沙
ひどいことも何も、研究には発電細胞を取り出さなきゃならないんだぞ?
どんだけエイが…いや、研究の進み具合では電気ナマズも電気ウナギも犠牲になる恐れがあるな。
霊夢
だとすると、ちょっとねぇ…
魔理沙
だろ?
一応、倫理上の問題をクリアする研究も進められているらしいけどな。
まあどんな研究か、とりあえず解説しようか。
霊夢
あいよ!
でかさ、取り出しちゃったら発電しないんじゃないの?
魚の気分次第でしょ?
さっき「興奮すると」って言ってたし。
魔理沙
実はな、これも研究で分かったことなんだが発電器官を動かすのはATP…つまり、アデノシン三リン酸という物質を細胞が作り出してる限り、ずっと動き続けるんだ。
霊夢
ええええ!?
じ、じゃあそれを与え続けてたら…
魔理沙
ああ。
発電器官の稼動についてはクリアだ。
ATPは地球上にいくらでも存在するからな。
霊夢
でも実際、エネルギーとして使えるの?
こういうのって企画倒れなところも多いみたいだし。
魔理沙
企画倒れがあるのは否定しない。
だがこの研究に限っては、実際にLEDを点灯させることが出来たみたいだから、期待はできると思う。
霊夢
おおお!
TPPを与えて発電させたんだ!
やっぱ研究者の人たちはすごいなぁ!
魔理沙
環太平洋パートナーシップ協定じゃねえよ。
ATPな?
あ、ちなみにシビレエイの頭を押して興奮させたって話だ。
霊夢
なんだそれ!?
魔理沙
まあまあ。
その後はきちんと研究者っぽいことをしてるぞ。
神経伝達物質の注入により、1分以上の継続電流を確認したほか、繰り返し発電が可能だということが分かったぜ。
霊夢
うーん。
でも、今のところ乾電池レベルだよね。
魔理沙
まあな。
ま、発電所並になるにはまだまだ年月が掛かるだろう。
霊夢
魚にあんまりひどいことはしてほしくないから、何とか上手にしてほしいところだね。
人も魚もwinwinみたいな…
魔理沙
難しいところだが、頑張ってほしいところだよ。
てなことで、電気ウナギという生き物とか、発電の仕組み、その利用などいろいろ話してみたんだが、どうだった?
霊夢
よーーーーーく分かったよ。
電気ウナギもそうだけど、電気を生み出す魚全般複雑なことやってんなぁって感じたわ。
魔理沙
彼らにとっては、そういう進化がベストだったのかもしれないぜ?
ま、こういう面白い進化をした生き物は結構いるから、また機会があれば他のも解説したいところだな。
霊夢
うんうん、また頼むよ。
つーわけで、私は掃除に戻…
魔理沙
あ、だから濡れた手で触…
霊夢
ぎゃああああああああああ!
魔理沙
リプレイすんな!
魔理沙
ということで今回は、電気ウナギはどうして電気を作れるのか?について紹介しました。
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